ケニアの更生施設について

独立行政法人国際協力機構(JICA)が行っている事業の一つに、青年海外協力隊というボランティア活動があります。これは、世界中の国から、教育、ビジネス、保健衛生、スポーツ等さまざまな要請を受けて、日本政府からボランティアを派遣する事業です。その中で、アフリカにあるケニアという国では、以前からJICAが少年犯罪に関する様々なプロジェクトを行ってきたことが関係しているのか、少年院や更生保護施設、保護観察所などで、青年海外協力隊のボランティアが活躍しています。幸運なことに、知人が青年海外協力隊として赴任していたため、ケニアの施設を見学することができました。この場をお借りして、報告をしたいと思います。

 

ケニアの少年犯罪処遇

 

少年が犯罪の疑いがある場合や、ストリートチルドレンとして保護された青少年は、リマンドホームという施設に保護されます。処遇が決まり次第、青少年はリマンドホームを退所し、更生学校、孤児院、児童養護施設などへ入所、または家族の元へ帰ります。

 

わたしは、ナクル女子保護観察所、カカメガ更生学校、カカメガリマンドホーム、マトマイニ・チルドレンズ・ホームの4か所を見学しました。各施設の状況と感想をお伝えしたいと思います。

 

 

カカメガリマンドホーム

 

処遇が決定するまでの一時的な保護施設で、定員80名。約120名が生活しており、だいたいの割合は、10~14歳の男子が約20%、15~18歳の男子が約40%、女子が約20%。現地スタッフとして、所長、ソーシャルワーカー、英語等の教師(週3回)が勤務している他、大学生のインターンやボランティアを受け入れているとのことでした。だいたい、子どもたちは午前中に授業を受け、午後は自習を行っていました。

 

写真(左から順に)

1枚目:施設の外観です。このような建物で四方を囲まれています。左に見える黒いものは水を入れるタンクです(一般家庭でも水が止まることがあります)。

2枚目:施設の中です。建物で囲まれているのが分かると思います。運動する場所は、この中庭(コンクリートですが・・)しかありません。

3枚目:子どもたちが集まって集会をしています。日によってテーマがあり、ディベートを行います。ケニアはキリスト教を信仰している人が多く、聖歌を合唱することもあります。

4枚目:昼食です。ほぼ毎日、このウガリ(トウモロコシを潰したもの)とスクマ(チンゲン菜を固くしたような葉っぱ)を食べています。週に一度だけ、お肉が付きます。この他にも、豆が主食になることもあります。

5枚目:ボランティアが行っている授業の様子です。基本的な計算を教えています。中には学校へ行っていない子どももいるので、年齢は様々です。

リマンドホームは一時的な保護施設なので、1日で帰る子もいれば、1週間、1か月・・・と様々のようです。ただ、8年も保護されている子どももいました。裁判をして処遇が決まれば退所できますが、彼の場合は、その裁判が進まないとのことでした。彼はすでに24,5歳になっており、本来、学校でしっかり勉強をして、働いて、人によっては家庭を持つ年齢です。その間、ずっとこの閉鎖的な空間から出れずにいると思うと、その対応に疑問を感じずにはいられませんでした。NGOなどの団体も動いていたようで、わたしが帰国して間もなく彼の処遇(無罪判決)が決まり、退所したことを聞きました。8年間という期間を取り戻すことはできないけれども、強く生きてほしいと思います。

 

 

ナクル女子保護観察所

 

軽犯罪(窃盗、売春等)で保護観察中の女子18~21歳が生活しています。基本的に1年間の保護で、更生の度合いを見て延長もあるそうです。職業訓練の要素が大きく、月曜日から金曜日まで施設内で授業を行っており、英語、美容(編みこみの練習)、洋裁などを行っています。ここで働いている日本人ボランティアは、美術、音楽、パソコンを担当しているそうです。野菜やアクセサリー作り、宿泊施設(簡易ホテルのようなところ)の経営で収入を得て、施設を運営しています。

 

写真(左から順に)

1枚目:施設の中の農園。ここで収穫しているものを販売しているそうです。

2枚目:調理場。ご飯は全て子どもたちが作ります。

3枚目:授業を行う教室。

4枚目:施設に併設されている宿泊施設。ここに1泊しました。中はきれいで、シャワーも出ました。

5枚目:施設に宿泊した際の朝食。パンと飲み物が付きました。

6枚目:施設に併設されているセミナールーム。貸し出しをしていて、いろいろな集会が行われるそうです。この収益も施設の運営費に充てられます。

ちょうど宿泊した次の日に、何かの団体がセミナールームを使うということで、掃除や食事の準備で大忙しでした。子どもたちの部屋は、2人1部屋で、別の部屋にテレビが1台あり、みんなで観れるようになっていました。ここで生活する約1年の間に、子どもたちは地域で生活ができるように生活訓練をします。祝日に見学へ行ったので、授業を観ることはできませんでしたが、ちゃんとした更生プログラムがあるのかどうかは分かりません。どの施設にも共通して言えますが、職員が突然休むことがあります。それが、1日ではなく、長期にわたることもあります。その間、もちろん授業はできませんし、人員を補充しないこともあります。このような無責任な休暇も、賃金が安い、働いても評価されない、賄賂で何とかなるという社会環境的な問題もあるのではないかと思います。ボランティアレベルでは難しい問題もありますが、少しずつでも、社会環境が改善していくことを願っています。

 

 

カカメガ更生学校

 

12~18歳の男子、約70名が保護されており、最大3年間で退所となります。ストリートチルドレンになって保護され親元に帰れない子ども(親が子どもを育てられないなど)や、違法薬物など罪を犯した子ども、中には知的障害を持つ子どもも含め、共同生活を行っています。比較的自由に外出ができますが、脱走者は少ないそうです。6,7,8年生の授業のクラスがありますが、担当の職員が出勤しないため、ボランティアが授業を行っていました。

 

1枚目:ボランティアが授業を行っています。

2枚目:ボランティアがサッカークラブの指導をしています。

マトマイニ・チルドレンズ・ホーム(SCC)

 

日本人女性が代表を務める児童養護施設です。1987年に創立され、日本では「風に立つライオン」という映画にも登場しています。孤児やストリートチルドレンなどの保護や、シングルマザーの自立支援(就労援助)を行っています。自立支援では、羊毛を使ってぬいぐるみ等を作って販売しており、15人の女性が働いているそうです。子どもが障害を持っていてSCCまで来れない女性の場合は、内職で仕事をしてもらっているそうです。

 

写真(左から順に)

1枚目:入口です。ナイロビ市内からタクシーで20~30分、徒歩でしばらく歩くと見えてきます。

2枚目:敷地内です。

3枚目:映画にも登場したという壁。

4枚目:羊毛を丁寧に洗っているところです。かなりの力仕事だとか。

5枚目:洗った羊毛を乾かして、着色し、混ざってしまったごみを取り除いているところです。一つ一つ手作業です。

6枚目:出来上がったぬいぐるみです。かわいいですね!

子どもたちと接する時間はなかったのですが、女性たちがモノづくりをしている職場の見学をすることができました。すでに働いて長い方は、慣れた手つきで仕事をこなしていました。ぬいぐるみは、自分の作品が販売できた分だけたくさん収入が得られるようになっているそうです。ぬいぐるみがうまく作れない人は、一定収入が確実に得られる仕事(羊毛を洗ったり、掃除したり)に就くそうです。

 

興味のある方は、ホームページをやブログも見てみてください。ブログでは当施設の活動、ケニアの社会や文化のことも書かれていて、より詳しく知ることができます。

 

 

見学を終えての感想

 

JICAのプロジェクトが関係しているのか、ケニアの保護観察制度は、日本とよく似ているそうです。日本にもある保護司制度がケニアにもあり、日本人の方が保護司会をまとめていると聞きました(今回はお会いできず残念でした)。青年海外協力隊というボランティアも含め、日本がケニアの更生保護の支援を行っているのは、とても素晴らしいことだと思います。今回の見学で、非人道的な対応や、人権侵害のような問題も見受けられ、何もできない自分にとても悔しく思いました。わたしができることと言えば、障がい者や刑余者、子ども、生活貧困者など、社会的に不利な立場にいる人たちが、少しでも安定した生活が送れるように、地域で支えていくことだと思っています。その一つが、このBBS会です。大きな活動をしているわけではありませんが、小さなことでも、人とのつながりを大切していくことで、地域で安心できるコミュニティーができるのではないかと思います。

 

さて、話を戻します。ケニア!ですが、施設見学の他にも、いろいろな場所へ行きました。せっかくなので、少しだけ掲載しておきます。治安や健康にも注意が必要なので、安易に行ける国ではありませんが、興味を持たれた方は、ぜひ訪れてみてください。

 

写真(左から順に)

1枚目:市場の様子。バスからなので、ちょっと見にくいかも。

2枚目:ケニアには、沢山の種類の布があります。カンガ、キテンゲ、マサイシュカ、キコイ。その違いはネットでお調べください(ごめんなさい)

3枚目:移動途中の景色。緑が豊かでとても美しいです!

4枚目:どのおうちの庭にもバナナが成っていました。日本で食べるよりも、とっても甘くておいしかったです!

 

5枚目:首都ナイロビ近くのサファリツアーへ行ってきました。朝日が昇る時間帯に現地へ到着。

6枚目:木のてっぺんには鳥さんがとまっています。

7枚目:こんなに近くでキリンさんが見れると思わず、はしゃいでしまいました。

8枚目:たくさんのシマウマさんが群れを作っていました。ライオンさんは見れず。

 

9枚目:カルデラ、と聞きました。なんだか壮大すぎて、よく分かりませんでした。。

10枚目:ケニアのビール!ゾウさんの笑顔に癒されます。

11枚目:大衆食堂で昼食。普通においしかったです!

12枚目:カカメガの国立公園。ガイドさんもついて、時間によってコースを選んで案内してもらいました。

おわり。